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更新回数が7回に及んでいた労働者に対する雇止めが有効とされた事例

両角のコラム

2022.02.09

更新回数が7回に及んでいた労働者に対する雇止めが有効とされた事例

有期労働契約の更新回数が7回に及んでいた労働者に対する雇止めが有効とされた裁判例(東京地裁令和2年10月1日判決)をご紹介します。

事案

XとYとの間の有期労働契約は7回にわたって更新された後、雇止めとなりましたが、以下のような経緯がありました。

・4回目の更新時以降の契約書には、契約書記載の業務が消滅縮小した場合は契約を終了する旨の記載、平成30年3月末日(労契法18条が施行された平成25年4月1日から5年後)を超えて契約を更新することはない旨の不更新条項が設けられていました。

・6回目の契約更新までの契約書には、担当業務はYがZ社から受注した業務、勤務場所はB事業所とされていましたが、6回目の契約時において、YがZ社の業務を受注できなくなり、B事業所が閉鎖されました。

Xは、XとYとの労働契約は労契法19条1号又は2号の要件を満たしており、雇止めも理由がないため、従前の労働契約の内容で契約が更新されたと主張し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求める訴えを提起しました。

裁判所の判断

①労契法19条1号について

XとYとの間では、毎回、必ず契約書が作成されており、契約日の前に契約書を読み上げて、契約の意思を確認する手続を取っており、更新処理が形骸化していたとはいえないとして否定しました。

②労契法19条2号について

契約書において、B事業所におけるZ社の業務をYが受注する限りにおいて継続する性質の雇用であることがXに対し明示されていたといえること、6回目の更新の前に、YがZ社の業務を失注しB事業所を閉鎖する見込みとなり、次期契約期間満了後の雇用継続がないことについて複数回の説明を受けていたこと等により、それまで5回の更新がされたことによって生じるべき更新の合理的期待は打ち消されてしまったといえるとしました。さらに7回目の更新時も不更新条項が設けられ、契約期間満了後は更新がないことについて説明書面を交付して説明を行っており、合理的な期待が生じる余地はなかったといえるとしました。以上より、労契法19条2該当性も否定しました。

コメント

不更新条項を設けて行った本件雇止めが労契法18条の無期転換の潜脱であるか否かも問題になりましたが、否定されました。その理由は、労契法18条は有期契約の利用自体は許容しつつ、5年を超えたときに無期雇用へ移行させることで、有期契約の濫用的利用を抑制し、もって労働者の雇用の安定を図る趣旨の規定であるところ、Xは5年を超えて雇用されておらず、労契法18条の保護が及ぶことはないというものでした。

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