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雇止めの有効性

両角のコラム

2022.02.09

雇止めの有効性

  下記①、②のいずれかに該当する場合に使用者が雇止めをすることが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めは認められません(労働契約法19条)。

 ① 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの

 ② 労働者において、有期労働契約の契約期間満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの

 有期労働契約の更新上限規定があった場合、上記②に該当しないとし、雇止めは有効とされた裁判例(東京地裁令和3年6月16日判決【ドコモ・サポート事件】)をご紹介します。

事案

 本件は、Y社との間で有期労働契約を締結したXが、有期労働契約について4回にわたり契約更新をした後、期間満了時をもって雇止めされた事案です。

 入社説明会において、本件契約の更新回数の上限は4回であること、契約期間は最長5年間であることを説明されていました。また、XとY社との間の各更新時の契約書には、更新限度回数の記載があり、4回目の更新時の契約書には「今回の契約を除き0回」「契約の更新はしない」との記載がありました。

 またY社では、有期契約労働者から無期契約労働者への採用制度があり、その採用率は40%弱~50%程度でした。他方、選考試験に合格することなく更新限度回数に達した有期契約労働者は期間満了により雇止めされており、その数は相当数に上っていました。

裁判所の判断

 判決では、有期契約労働者から無期契約労働者への採用制度及び運用状況、本件契約締結までの経緯や契約期間管理に関する状況から、Xには、更新限度回数4回を超えて、さらに更新されるものと期待するような状況にあったとはいえないとし、労契法19条2号には該当しないと判断しました。

コメント

 労契法19条2号における有期労働契約が更新されるものと期待することについての合理的理由の存否は雇用の全期間の事情を総合的に考慮して判断されます(平成24年8月10日 基発810第2)。したがって、更新上限に達した後も雇用継続が確実であるかのような言動がたびたびあった場合、更新上限規定があっても、無期契約労働者への採用制度がない又はあるとしてもその運用状況が著しく低い場合等は、労契法19条2号に当たるとされる場合もあります。

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