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負担付遺贈の取消しが争われた裁判例

寺川のコラム

2022.02.19

負担付遺贈の取消しが争われた裁判例

遺言書に関する裁判例(仙台高裁令和2年6月11日判決)が判例時報2503号に掲載されていましたので、紹介させていただきます。

遺言書作成

負担付遺贈とその取消し

負担付遺贈

負担付遺贈とは、遺贈を受けた者に対し、義務を負担させる遺贈です。
例えば、遺言者が、自分が亡くなったときに全財産を受贈者となる者に遺贈するかわりに、受贈者となる者に、誰かの面倒をみてもらうといった内容の遺贈です。
負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負います(民法1002条)。

負担付遺贈の取消し

負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができます。
そして、その期間内に履行がないときは、その負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができます(民法1027条)。

事案の概要

本件では、遺言者(父)は、遺言者の有する一切の財産を長男Yに相続させるとともに、この相続の負担として、二男Xの生活を援助するものとの負担付遺贈をしました。二男Xは精神疾患の影響もあって、自己の財産を管理する能力が十分ではなく、浪費してしまうおそれがあったという事情があったようです。
遺言者は、生前、二男に対し、生活費の援助として最低でも月3万円を送金し、遺言者が死亡した後は、長男Yが引き続き月3万円を送金していましたが、その送金を止めてしまいました。
そこで、二男Xが遺言の取消しを求めて審判を申立てました。
長男Yは、同申立て直後に、経済的援助の支払いを拒絶しているわけではなく、一定の経済的援助の支払を命じられた場合には支払う意思があることを表明していました。また、長男Yは、二男Xに対し、毎月3万円の支払いをするか、遺留分相当額705万円を支払うという和解案を提案していましたが、二男Xが解決金2700万円の支払を求めたため、話し合いによる解決ができなかったという事情がありました。

裁判所の判断

長男Yが毎月3万円の支払いをしていないことは、本件遺言に定める負担を履行していないものといえるが、長男Yには負担の内容が具体的に示されればこれを完全に履行する意思があり、本件遺言の抽象的文言からは、負担についての遺言者の意思解釈が必ずしも容易ではないことを考えると、現時点で長男Yがその履行をしていないことについては、責めに帰することができないやむを得ない事情があるとし、本件遺言の取消しを認めませんでした。

コメント

遺言者が、負担付遺贈をする時点で、不確定要素の多い将来を見通して、負担の内容を明確にすることは難しいですが、将来の紛争を避けるためには様々なケースを想定して場合分けするなどの工夫が必要となりそうです。

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